受託開発・システム開発会社の現場でAIを活用する場面|要件整理・見積もり・テスト設計から
クライアントから開発を請け負う受託開発会社が、自社の開発工程でAIをどう使えるかを整理します。要件整理、見積もり、テスト設計、ドキュメント作成の場面から考えます。
受託開発・システム開発会社は、クライアントにAI活用を提案する立場である一方、自社の開発工程そのものにAIを取り入れられているかは別の話です。この記事では、開発を請け負う会社が自社の現場でAIを使える場面を、工程ごとに整理します。
開発を請け負う会社ならではの事情
自社サービスを開発する会社と違い、受託開発会社には次のような事情があります。
- 案件ごとに業務ドメインが変わり、毎回ゼロから背景を理解する必要がある
- 見積もりの精度が受注そのものに直結する
- クライアントの機密情報を扱うため、入力してよい情報の線引きがより厳しくなる
この3点を踏まえたうえで、どの工程にAIを使うかを考える必要があります。
工程ごとに使える場面
| 工程 | AIが手伝える範囲 | 人が必ず行う範囲 |
|---|---|---|
| 要件整理 | ヒアリング内容の整理、論点の洗い出し | クライアントとの合意形成、最終判断 |
| 見積もり | 過去案件を参考にした概算のたたき台 | 金額の確定、リスクの織り込み |
| 設計・テスト | テストケースの下書き、仕様書のたたき台 | レビュー、抜け漏れの最終確認 |
| ドキュメント | 議事録・進捗報告のまとめ | クライアントへの説明責任 |
たたき台をAIがつくり、確定と説明責任は人が持つ、という分担が基本になります。
クライアント情報の扱いを先に決める
受託開発では、クライアントの事業情報やソースコードを扱う場面が多くなります。次の順番で整理しておくと、案件ごとに迷わずに済みます。
- NDAで定められた範囲を確認する
- AIに入力してよい情報と、抽象化・匿名化すれば使える情報を分ける
- 案件固有の情報は、学習に使われない設定を確認したうえで範囲を限定して使う
- 迷う場合は、入力しない側に倒す
この線引きを案件開始時に決めておくことで、担当者ごとの判断のばらつきを防げます。
テストケース作成での使い方
仕様書からテストケースを洗い出す作業は、抜け漏れが起きやすい工程です。AIに仕様の要点を渡してケースのたたき台を出させ、人が正常系・異常系・境界値の観点で抜けを確認する、という分担にすると、ゼロから書き出すより確認作業に時間を使えます。
複数案件を抱える体制での注意点
受託開発会社は、複数の案件を並行して抱えることが珍しくありません。案件ごとにAIとのやり取りを分けずに進めると、次のような問題が起きやすくなります。
- 別案件の情報が、会話の流れの中で混ざって参照されてしまう
- 案件Aで使った表現やテンプレートを、案件Bにそのまま流用してしまう
- 誰がどの案件でAIをどう使ったか、後から追いにくい
案件ごとにやり取りを区切り、案件をまたいで情報を持ち込まないルールを最初に決めておくことが、事故を防ぐ土台になります。
見積もりの精度を上げるための使い方
見積もりは受注そのものに直結するため、精度が重要です。過去の類似案件の工数や進め方をAIに整理させることで、担当者の経験だけに頼らない概算のたたき台をつくれます。ただし、案件固有のリスクや、クライアント側の意思決定の速さといった定性的な要素は、担当者の判断が必要です。AIが出す数字はあくまで出発点として扱い、最終的な金額とリスクの織り込みは人が行います。
まとめ
受託開発・システム開発会社では、クライアントへの提案だけでなく、自社の要件整理・見積もり・テスト設計・ドキュメント作成にもAIを活用できる場面があります。株式会社スリーラボでは、こうした開発会社自身の業務効率化についても、情報の線引きを含めた設計からご相談をお受けしています。進め方に迷う場合はできることのページをご覧のうえ、お問い合わせからご連絡ください。